210人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「アイツが来るんだろ、お前に告白してたヤツ……!」
自分でも完全に言いがかりなのは分かっていた。だけど、どうしても問い詰めずにはいられない。
自分自身でも気づいていなかったが、直人はずっと傷ついていた。静が告白されていたことも、その告白がまるでなかったかのように、静が振舞うことにも。
片想いしている相手が、告白した相手を蔑ろにしているのは、自分がされているみたいに悲しい。
「だから、そんなヤツいないって言ってるだろ! いい加減に信じてくれよ!」
怒声をあげた静が、拳を近くにあった机に叩きつける。上に置かれていた瓶がガシャン! と派手な音を立てた。耳障りな反響は余計に頭に血を上らせる。
直人は静の腕を掴んで詰め寄った。
「だって見たんだ! お前こそ、おれの言うこと信じてないじゃないか!」
「信じてる! だからこっちも必死で解決策を探してるんだろ!」
「じゃあ何で嘘つくんだよ! アイツのこと、庇ってるのか!?」
「アイツって誰だよ! もういい加減にしてくれ!!」
最初のコメントを投稿しよう!