七月十二日 金曜日

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「言えるかよ。だって、言ってダメだったら、もう普通の友達としてもいっしょにいられなくなるかも知れないのに」 「何で?」  静の言い分に、直人は全く共感出来ない。もしお互い両想いじゃなくても、気の置けない幼馴染で人として尊敬している、という事実は変わらない。たとえ想いに応えられなくても、没交渉になる理由にはならないと思う。 「静ってそんなに後ろ向きだった?」 「直人が楽観的すぎるんだろ。俺のこと好きになったのなんか、どうせここ二、三日だろ? それで即告白って、ほんと……無謀というか果敢というか」 「おれのことバカにしてる?」 「してない。心配性なんだけど、いざとなったら前向きで思い切りのいいところも、好きになった理由の一つだから」  さらりと告げられた言葉が、胸の中にすとんと落ちる。  好きになった。好き。好き。静が、直人のことを好きだと言った。そうか、本当に静も直人のことが好きなのか。  じわじわと胸の中が熱くなる。恥ずかしくて、息が詰まって、だけで何よりも、嬉しい。 「おれがお前のこと好きだって気づいたの、ここ最近だって、どうしてわかったんだ?」
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