七月九日 火曜日

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 コート外では積極的に絡んでいないふたりだが、こう見えて篠塚は静のことを気に入っている。だからこそ、些細な素行が気になるのだろう。  あまり大っぴらに吹聴したい話ではないが、静とコンビを組むことの多い篠塚には言っておいた方がいいかもしれない。  人差し指を立てて口元に当てながら、誰にも言うなよ? と念を押すと、篠塚は何だか妙な顔をした。  さりげなく篠塚の耳元に口を寄せてこっそり打ち明けようとするが、ガタガタと椅子を鳴らして遠ざかる。 「バカ! なに目立ってんだよ」 「いやだって、絶対遠野に根にもたれそうだし!」  さりげなく周囲を観察しても、もともと騒がしい部室内だ。小声で言い合いをしている直人たちを気にする者は特に居なそうだ。  耳かせ、とジェスチャーで伝えると、篠塚は諦めた顔で腰を折って耳を近づけてきた。  確かに物理的には近くなったが、向こうの方が背が高いことを暗にアピールされたようで腹が立ったので、一応軽く殴っておく。 「イッタ!」 「元々おれたち、同級生だったんだ」  抗議を挟む隙を与えずに告げると、篠塚は目を見開いた。 「えっ!? 遠野って留年してるんですか?」
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