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一冊の教科書を囲んで低い声で話すふたりを見ていると、ちょっとだけ疎外感を感じてしまう。
「お前ら仲いいな」
いい先輩の顔を作って言ってみたが、篠塚は呆れたように片手で顔を覆い、静にはきつい目で睨まれてしまった。意味が分からない。
自分より頭半分背の高い後輩たちがちっともかわいくなくて、直人は不貞腐れた。
帰宅後、夕食とシャワーを済ませてから自室に戻ると、当たり前のような顔をして同じく風呂上りらしき静がくつろいでいた。
クロやウィルのように窓から入ったのだろう。よくあることすぎてそのこと自体には今さら驚きもしない。
「お前さ……どうせ部屋に居るなら、ついでにエアコンつけておいてくれたらいいのに」
「家主の許可なくそれはさすがにちょっと」
「完全に不法侵入しといてそこで遠慮する意味が分からないんだけど」
陽は沈んだとはいえ、窓を開けただけの室内はむっとした熱気がこもっている。
僅かな隙間を空けて窓を閉め、エアコンをつけてからスクールバッグから問題集を取り出す。あんまり集中して出来そうもなかったが、やらないよりはマシだろう。
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