七月九日 火曜日

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七月九日 火曜日

 腹に降ってきた重い衝撃のせいで、健やかな眠りは遮られた。 「っぐ、うぅぅ、このぉっ!」  最悪の目覚めを提供してくれた犯人の足を掴んで持ち上げる。隣家の飼い猫である茶トラのウィルは、前足を掴まれても涼しい顔でふわふわした毛並みを整えていた。  せっかく、良い夢を見ていた気がするのに。出来ることならもう少しまどろんで、余韻に浸りたかった。  今日から始まる期末テストに備え、昨夜は遅くまで勉強していた。慣れない睡眠不足のせいで、眠たくて仕方ない。  その上七月の陽はすでに高く、起きぬけにこの暑さは堪える。エアコンをつけずに寝ていた直人は寝汗で張り付いた髪をかき上げ、目をこすった。  腹の上でくつろぐやわらかな毛玉を睨んでもしょうがない。  掴んでいた手を離し、毛足の長い尻尾を撫でてやると、ウィルは気持ち良さそうに身体を伸ばした。
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