七月九日 火曜日

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「興味? あんたが?」 「うん。……なんだよ、おれが恋愛に興味あったらおかしいわけ?」 「いや、そんなことはないです」  静は少し迷うそぶりで視線を宙にさまよわせた。それからじっとこちらを見つめてくる。  自分で真横に陣取ったのに、顔を向けられるとあまりにも近くてちょっとしり込みしてしまう。いつも見上げた先にある静の顔は、間近で見ると想像以上にまつげが長かった。 「明るくて大らかで、見た目はすごくかわいいんだけど、芯は強くてやさしいひとが好きです。いっしょに居ると振り回されてイライラすることも多いんだけど、そばにいないと気になって仕方ないような」  似たような質問は何度かしたことがあったけど、静がまともに答えてくれたのは初めてかもしれない。  そしてその答えがあまりにも具体的で驚いた。まさか静には好きなひとがいるのだろうか? まるで特定の誰かを指しているような言い草だけど。  至近距離で目を見て言われると、全然関係のないこちらまで恥ずかしくなってくる。くっきりとした二重の瞳は凛々しくて、見慣れたはずの直人ですら胸が騒いでしまうのだから腹立たしい。
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