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一年生の教室が並ぶ廊下に、二年生が来ることはあまりない。じろじろと不躾な視線を感じ、少々居心地が悪い。
つい長身の静の背中にかくれるようにしてしまい、静に笑われてしまった。
「そうしてると、イギリスに居たころみたいですね」
「……どうせあの頃からお前はデカくて、おれはちびだったよ」
静は直人をからかうことで、ようやく機嫌を直したらしい。少し目元を緩めてくれたことに安堵しつつ、静の周囲を観察する。
しかし、よく考えてみたら静は元々高身長のイケメンだ。性格だって、直人に対してはアレだが、裏表なく責任感の強い静に悪印象を持つことは難しいだろう。
ただ廊下を歩いているだけなのに、誰もが好意を持っているように見えてしまい、我ながらどうしようもない。
「遠野、今すれ違ったひとって接点ある?」
「委員会がいっしょです」
「さっき挨拶してきた日焼けした子は?」
「元々同じ中学でした」
半ば疑心暗鬼になりつつ、油断なく目を配っていると、不意に静が低い声を出した。
「……先輩、ちょっと目ぇつぶしてもいいですか?」
「何その犯行予告!? いいわけあるか!」
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