七月十日 水曜日

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 店内はエアコンが効いていて、夏の日差しに火照った身体から急速に熱を奪っていく。  静が選んだのはいかにも甘そうなトッピングもりだくさんのチョコレートアイス。この外見からは想像も出来ないが、意外に静は甘党だ。直人は水色のパッケージがすっきりとしたラムネ味のアイスを選んだ。逆に直人はあまり甘いものは好きではなかった。  店を出た静は家に帰るのかと思いきや、別の方向へ歩き出した。ふたり分のアイスが入ったレジ袋を手にぶら下げて、直人も後に続く。 「どこ行くんだよ」 「ひさしぶりにあの公園に行ってみようかと思って」  初夏の日差しは強かったけど、昔よくふたりで歩いた道を辿るのは、仲が良かったころに戻ったみたいでちょっと嬉しい。  コンビニからほど近い公園についたころには、だいぶ気分は浮上していた。  炎天下のちょうど昼時ということもあって、周囲には驚くほど人がいない。木陰に手ごろなベンチを見つけて腰を下ろすと、表面に汗をかいたアイスをビニール袋から取り出した。 「それで? 言いたいことがあるなら聞いてあげますよ」
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