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胸の奥がくすぐったくて、落ち着かない。なのに離れたくないという、この気持ちは。
この気持ちの名前は。
自覚した途端、自分が静に向けていた想いが何なのかに気がついて、顔から血の気が引いた。
頭が良くて、いじわるで、だけど誰よりやさしかった、静。困っていることがあったらすぐに助けてくれて、直人がなりたいと思っている、理想像そのものの幼馴染みのことが。
ずっと、好きだったなんて。
「い、いや、イケメンはこんな間近で見てもイケメンだからずるいなー、って思って……」
気付かれたくない。
とっさに顔を背けてごまかす。今までどうして平気だったんだろう。横たわった静との距離が近すぎて、勝手に唇が震えてしまう。
見られたくなくて、手の平で口元を覆う。だって、静は直人のことが嫌いなのだ。いや、嫌いとまでは言わないのかもしれないけど、決して好きではないだろう。静が本当に好きなひとには、やさしくて甲斐甲斐しい男であることを知っている。
自分の思考回路に自分で勝手に傷ついて、泣いてしまいそうだ。
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