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視界いっぱいに広がる涙が零れ落ちてしまいそうなのを、必死に堪える。目をそらしていたからはっきりとは分からないけれど、静は険しい顔になって立ち上がったようだった。
「あんたさ、俺のこと格好いいだのイケメンだのしょっちゅう言うけど、ほんとはそんなことひとつも思ってないだろ」
そんなことない。
出会ったときからずっと格好いいと思っていた。今だって心からそう思っている。
だけど、今、それを口にしてしまうと、卑しい気持ちまで漏れ出てしまいそうで、直人は口を閉ざしたまま必死にかぶりを振った。
そんな直人を見下ろしたまま、静はしばらく動かなかった。
身を硬くして黙っていると、やがて静は直人に背を向けた。
「バカにすんな」
いつになく乾いた声で吐き捨てて、部屋を出て行ってしまう。
ぴしゃり、と窓のしまる音が聞こえた。その途端、ぽろんと涙がひとつ、零れ落ちてしまった。
幼馴染みとキスをして、そのひとが好きだったことを自覚した直後に、怒らせてしまった。
好きだなんて、自覚しない方が良かった。静は直人のことが好きどころか、友達とすら思っているか怪しい。
「……どうしよう」
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