七月十一日 木曜日

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 スクールバスに乗っていられる時間はそう長くない。もたもたしていると、テスト期間なのに参考書ひとつ捲らずに付き合ってくれている優にも悪い。  腹をくくってここ二日間、夜寝るとウィルになってしまったこと。ウィルになったとき、毎回静に会っているのだが、起こった出来事を翌朝確認すると、そんなことはなかった、と言われてしまうことなどを、かいつまんで説明した。  静が知らない男に告白されているのを見てしまったことに関しては、伏せておいた。  きっと誰だってそんな話吹聴されるのは嫌だろうし、直人自身言いたくなかった。それに、そのことに触れてしまうと、自分の中で芽吹いてしまった気持ちについて、言わずにいるのは難しい。  自分が静のことを好きだということは分かったけど、そこからどうしたいのかよく分からない。もちろん、出来たら静にも好きになって欲しいけれど、望み薄な気がする。だからまずは、目先の問題だけを友人に相談することにした。  一通り聞き終わると優は腕を組んでため息をついた。 「うーん……」  しばらく考え込んでから、優はおもむろに直人に申し訳なさそうな視線をむけてきた。
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