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話しているうちに、正門前のバス停が見えてきた。慌ててICカードをごそごそと探し始めた直人を余所目に、窓枠の上でひじを突いた優は真剣に考え込んでいる。
「うーん。……やっぱりさ、今でも遠野は直人が困ってたら駆けつけて来そうだし、どんな些細な口約束だって守ってそうだし、泣いてたら泣き止むまでずっとそばにいる気がするけど。口では嫌味を言いながら」
「だから、その嫌味が余計だっていうの!」
バスが停車したタイミングでようやく目的のものを見つけて、勢いよく立ち上がる。降車口から降り、並んで歩き出しても優は難しい顔をしたままだった。
「あのさ、直人が猫になっちゃうのって寝てるときなんだろ? やっぱりそれって、単に夢を見てると思った方が、自然だと思うけどなぁ」
言いにくそうにこちらを覗き見てくる優は、間違ったことを言っていない。誰だってそう考えるのが当然だ。
「おれだって、夢で済むならその方が良いよ。だけど、何かいやな予感するんだよ……」
今日も日差しが強く、焼け付くように暑い。こうして話している間も、むき出しの肌にむっとした熱気がまとわりついてくる。
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