七月九日 火曜日

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 対して静は、出会った頃から背が高かった。いつ成長期が終わるのかと思っていたが、順調に百八十を越え、もういつ止まっても何の不満もないだろう。  だが、こんなことを気にしているのだと、静に思われたくない。直人にもなけなしのプライドがある。 「おー、ありがとな」  出来るだけ自然な動作で横に並ぶ。笑顔を向けると、静はなぜか目を泳がせて下を向いた。 「どうした?」 「別に……思ったより、暑いな、と思って」  確かに、エアコンは点いているようだが、人が多すぎてほとんど機能していない。立っているだけでじんわりと汗が浮かび、気持ち悪い。人いきれも相まって、不快度数はかなり高いが、見上げた静は涼しい顔をしていた。 「……お前、よく汗かかないな」  呟いた言葉は独り言に近かったが、触れ合うほどそばにいた静にも聞こえたようだった。 「かいてますよ。あんまりくっつかないでください」 「えぇ? ほんと? 全然汗臭くないんだけど」  ためしに鼻を近づけてみたけど、白いシャツからは柔軟剤らしき爽やかな香りがしただけだ。 「……」 「いだだだだだ、え、ちょっとおれ今何で耳ひっぱられてんの!?」
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