七月十一日 木曜日

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 高いところにある太陽が落とす影の中を歩きながら、ため息を押し殺して校門をくぐった。  悩みは一向に改善されないまま、放課後になってしまった。  今日のテストは昨日よりもなおひどかった。当たり前だ、猫になってしまうという悩みは解決されるどころか、さらに幼馴染みが好きだという問題まで増えてしまったのだ。  その上テストを受けているときに気がついたのだが、そういえば直人も静も男同士だった。二日前に静が男に告白されている現場に出くわしたり、なぜか静の方からキスしてきたりしたから、何となく流してしまったけど、よく考えたら大問題だ。せっかく好きだ、って分かったのに、前向きになれる要素が一つもない。 「直人、この後大丈夫?」  椅子から立ち上がったタイミングで声をかけてきたのは、優だった。心配そうに眉を顰めているから、彼が何を思っているのかは、口を開く前に分かった。 「今朝聞いた話、もうちょっときちんと話したくて」 「ありがとう。変な相談もちかけてごめん。うぅぅ、優ってほんと、いいやつだよな」 「ううん、直人のせいじゃないよ。もしそれが本当なら、ほんとにおおごとだし」
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