七月十一日 木曜日

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 上から聞こえてきた空恐ろしい静のセリフに、罪悪感が一瞬でかき消えた。  ただでさえ、日々着々とよく分からないプロレス技を習得しているのに、もし同好会が無事発足していたらどんな地獄が待ち受けていたことか。  いやでも逆に、直人が練習台にされることはなかったのかも。  頭を抱えてうんうん考え込む直人の制服の裾を、そっと優がひっぱった。 「あのさ、直人……」 「ん? あ、そっか」  そういえば、猫になってしまうことを相談したくてここに来たのに、これだけひとが集まっているんじゃ、とても出来そうもない。 「もういっそごはんでも食べに行く?」 「あ、いいね。おれハンバーガー食べたい。じゃあ、おれら行くから」  頷き合って、静に背を向けたところで肩をがしっと掴まれた。 「例の話ですよね? 俺もついて行っていいですか?」  振り返ると、思いがけなく真剣な顔をした静がこちらを見下ろしていた。  いいわけがない。どうせ静が来たってバカにしてくるだけだ。  しかし、直人が口を開くより早く、優が笑って快諾してしまった。 「うん、遠野もある意味当事者だし、居た方がいいと思う」 「えっ、遠野は来る必要ない!」
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