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「このドア、開くんだ」
シンプルすぎやしないか。
え、と思っているうちに内田がドアノブをひねると、カチャ、と静かな音がしてあっけなくドアが開いた。ドアの向こうには何でもない路地が見える。雨に濡れた地面が街灯に照らされていた。
「マジかよ……一撃必殺だな。なんで開いたの? え? すごくない? スナイパー内田って呼んでいい?」
「だめ」
スナイパー内田はさっさと白い部屋を出て俺を振り返った。
「さあ、気を取り直して2軒目行こうぜ」
「お……おう!」
後ろでドアが閉まる音が聞こえた。
ようやく白い部屋から開放された喜びでいっぱいだったから、気づくのが少し遅れた。
ねえ、俺の体、戻ってないんだけど。
眼の前を通り過ぎた野良猫が「ワン」と鳴いた。
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