Welcome to THE ROOM.

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 じっと顔を見合わせていた俺達だったが、 「つぎ、お前、いく?」  そう聞くと、内田はきゅっと眉をひそめて 「もう少し考えさせて」  腕を組んでブツブツと独り言を言い出した。はいはい、俺の二の舞にならないように必死にうまい嘘を考えてるってわけね。  でも、こうなると俺も何も思い浮かばない。何か言おうとしても口をパクパクするだけで何も出てこない。だって、嘘を言えば本当になる。嘘をつくことができない部屋ってことだろ。早くも詰んだ。胸に手を当てて考える。ああ、なんなのこの柔らかい膨らみは! ちょっとドキドキするんだけど!  このままこの部屋から出られないのか。この尿意はどうすれば良いんだ。勘弁してくれ。  ただただ、ため息をつくばかりの時間が過ぎていく。  打ちひしがれている俺の肩を内田がたたいた。ちょっとさがれとな。わかった、お手並み拝見と行こうじゃないか。選手交代だ。  この部屋唯一の出入り口の前に立った内田は、すうっと息を吸うと1文字ずつかみ含めるようにゆっくりと、とっておきの「嘘」を言った。
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