1人が本棚に入れています
本棚に追加
司祭の一人が声を張った。
「司祭、アデル・ピークである! 我々が行った神判によると、近頃の日照りはこの魔女、サンドラ・リューレの呪詛によるものだった。だが安心してほしい。今こうして魔女は捕らえられた。聖火によってその魂までも焼かれるだろう」
母の悪徳、神の素晴らしさ、火炙りによってこれから訪れる平和な日々について、彼らは語る。
三人の司祭が一本の松明を持って空に掲げた。神に何かを唱える。
「燃やせ! 燃やせ! 燃やせ!」
人々の声は大きくなっている。
「母さんっ!」
俺は叫んで駆け出すが、人混みに阻まれ、弾き出され転げた。
瞬間、聞こえたのは母の絶叫。
けれどそれは人々の歓声に飲まれて、すぐに聞こえなくなった。
空には濃い煙が立ち上っていた。
最初のコメントを投稿しよう!