2.煙は西に流れる

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 司祭の一人が声を張った。 「司祭、アデル・ピークである! 我々が行った神判によると、近頃の日照りはこの魔女、サンドラ・リューレの呪詛によるものだった。だが安心してほしい。今こうして魔女は捕らえられた。聖火によってその魂までも焼かれるだろう」  母の悪徳、神の素晴らしさ、火炙りによってこれから訪れる平和な日々について、彼らは語る。  三人の司祭が一本の松明を持って空に掲げた。神に何かを唱える。 「燃やせ! 燃やせ! 燃やせ!」  人々の声は大きくなっている。 「母さんっ!」  俺は叫んで駆け出すが、人混みに阻まれ、弾き出され転げた。  瞬間、聞こえたのは母の絶叫。  けれどそれは人々の歓声に飲まれて、すぐに聞こえなくなった。  空には濃い煙が立ち上っていた。
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