償いの1歩目

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母連夜は財布をしまいながら、溜め息を吐いて三笠を見送った。 生活費は問題ないはずの額を貰ってはいたが、三笠に持って行かれ、連夜の財布は底をついていた。 仕方なく猿楽に頼むと 「生活費は今の額では足りないのか?」 と問われ、連夜は慌てて 「私の病院代が今月は多く掛かってしまって。ごめんなさい」 と嘘を言って、猿楽はそれならと追加して金を渡した。 一方三笠は同級生に 「俺の本当の父さんは英雄なんだ。翼族と敵対する魔物のトップと相討ちして戦死したんだ。」 と、また事実に輪を幾重にも掛けた話をして、飲み食いさせていた。 食べさせて貰っているから、ふんふんと話を聞く同級生だったが、心中は三笠の話を馬鹿にしていた。 (おお嘘つきめ!)と。
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