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「三笠君……私どうしよう……大変な事になってしまって……」
遥はそう言うと、涙ぐんで三笠を見上げた。
「どっ、どっ、どうしたの?泣かないで?何があったの?」
三笠は慌ててハンカチを差し出した。
遥はそれで涙を拭きながら言った。
「私昨夜初めてお酒を飲んで、酔って小学生の羽を切ってしまったの……。どうしよう……相談出来る人もいなくて……ニュースにもなって、私どうしたら……」
遥はわあっと泣き声を上げながら三笠にしがみついた。
大好きな女の子が自分を頼っている。
何とかして助けてあげないと、と三笠は意を決した。
「酔って小学生の羽を切ったのは俺だよ。遥ちゃんは俺が守るよ」
三笠はまんまと咲哉の罠にはまった。
それから明日の放課後も同じ場所で会う約束をして、遥は去っていった。
三笠はしがみついてきた遥の温もりの残った胸元に手を当て、俯いて暫く動かなかった。
翌日もその次の日の放課後も遥の怯える姿を見て、三笠は決心した。
胸の中の遥をそっと抱き締めて
「俺、これから自首してくるから。大丈夫だから」
と決意をしっかりと語った。
遥はそれには黙って胸に顔を埋めた。
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