償いの1歩目

5/8
前へ
/8ページ
次へ
「三笠君……私どうしよう……大変な事になってしまって……」 遥はそう言うと、涙ぐんで三笠を見上げた。 「どっ、どっ、どうしたの?泣かないで?何があったの?」 三笠は慌ててハンカチを差し出した。 遥はそれで涙を拭きながら言った。 「私昨夜初めてお酒を飲んで、酔って小学生の羽を切ってしまったの……。どうしよう……相談出来る人もいなくて……ニュースにもなって、私どうしたら……」 遥はわあっと泣き声を上げながら三笠にしがみついた。 大好きな女の子が自分を頼っている。 何とかして助けてあげないと、と三笠は意を決した。 「酔って小学生の羽を切ったのは俺だよ。遥ちゃんは俺が守るよ」 三笠はまんまと咲哉の罠にはまった。 それから明日の放課後も同じ場所で会う約束をして、遥は去っていった。 三笠はしがみついてきた遥の温もりの残った胸元に手を当て、俯いて暫く動かなかった。 翌日もその次の日の放課後も遥の怯える姿を見て、三笠は決心した。 胸の中の遥をそっと抱き締めて 「俺、これから自首してくるから。大丈夫だから」 と決意をしっかりと語った。 遥はそれには黙って胸に顔を埋めた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加