償いの1歩目

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拘置所を出る朝、三笠はこの星の王子と話した経験からか、背筋を伸ばして門を出た。 そこには父母が待っており 「さあ帰りましょう。三笠の好物を沢山作っているから、3人で食べようね」 と明るく母は言い、父は後ろで微笑んだ。 三笠は危うく泣きそうになったが堪えて 「うん」 と強く頷いた。 父の方を向いて照れくさそうに 「ありがと……」 と言って目を伏せたが、明らかにこれまで見せなかった態度だ。 3人は帰宅し、手作りのご馳走を囲み、初めてと言って良い程に楽しく会話を弾ませた。 何が変わったのか、三笠自身が一番よく分かっていた。 了
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