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「あー、はるとねちゃったんだね。この子のね、生まれつき病気があって病院に入院して退院しての繰り返し。なかなか学校にも行けなくて、病院の学校に通ってるんだよ。」
「そうなんですか、大変ですね、」
「うん、はるとは大変だと思うよ、毎日毎日誰かがいなくなって行くからね。気づいたら周りにいた人たち天国にいっちゃうんだよ。はるとももうすぐかな。って言いながら毎晩毎晩ぐずるし。お友達がなかなか出来ないんだ、」
「この当たりの病院ですか?」
「うん。さっき出会った道あるでしょ。あそこを真っ直ぐ行くと目の前に病院があるの知ってる?そこなの」
「え、家の近くです!」
「あ、おうちあのあたりなんだ、」
「はい、あの、宜しければですがたまにはるとくんに会いに病院おじゃましていいですかね、私も一応あそこに通院してて」
「なにかご病気が?」
「あ、いちおう、精神的なほうで行ってます」
「なるほどねぇ。お互い大変なんだね。305号室。はるとのお部屋だからいつでも行ってあげて。はるとの初めてのお友達なんだから」
女はにこりと微笑んで私を見た。
私も微笑み返し家を後にした。
外に出るといつもと違って首がスースーする。
親になんて言おう、伸ばしてたのにとか言われるのかな、怒られるかな、それとも虐められてることバレちゃうのかな。もしバレたら学校に言われるしもっと大きないじめに繋がる、
そんなことを考えてるうちに家に着いていた。
勇気をだしてドアノブに手をかける。
ガチャっ。
鈍い金属の音と共に扉は開いた。
「た、ただいま!!」
大きな声。久しぶりに出した。震えていて自分でも変だと思った
「おかえり、、?え、その髪どうしたの!」
玄関まで迎えに来てくれたお母さんの顔は笑顔から驚いた顔に変わっていった。
「髪。私短い方がいい!だから切ってもらった。」
少し間が空いた。緊張していたためを固くつむって手を握りしめていた。恐る恐る目を開けるのお母さんの顔は笑顔に変わっていた。
「似合ってるじゃない!短い方が可愛い!!お金は?足りた?大丈夫?何円だったの?」
想像より優しいお母さんの声に私はまた泣きそうになりながら短くなった髪を3回ほど撫でた。私も短い髪の方が好きだ。自信に繋がった。
「お金は大丈夫、友達のお母さんに切ってもらったから。」
「そうなんだ、じゃあ今度なにかお礼しないとね何がいいかしら」
そうルンルンにリビングに戻って行った。
鏡に映る私は今まででは考えられないくらい短い髪で、でも今の自分の方が間違いなく好きだった。
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