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そんなこんなで1年がすぎた。
もちろんいじめが終わることなどなかった。ただ耐え抜いて1年がすぎた。
来年もどうせ朝行ったら机がない毎日なんだ、
そんなことをずっと考えながら新学期を迎えた。大丈夫私にはショートカットという武器がある。
私の変わるきっかけがまた増えた。
学校の担任。
すごく暑苦しくてうるさくて空回りばっかりする人
「今日からこの学年らこのクラスを任してもらった。俺はほかの先生と違ってこのクラスのことも学年のこともなんも分からん。やから教えて欲しい。何かあったら手紙でもなんでもいい書いてくれ。気になること全部。恋愛のことでもいい、どんな些細なことでもみんなのことを知りたいんや。」
その言葉を信じたわけじゃない。むしろ信頼なんてしてなかった。
帰りにはるとのいる病院へ足を運んだ。
元気な泣き声が響きわたる。はるとだ!自然と笑顔になる口元。早く、はやく逢いたい!
病室の窓を開けると看護師に薬を飲むように言われ嫌がるはるとが泣き叫んでいた。
「はーると!」
私の顔を見るなりさっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔になる。
「お姉ちゃん!僕今からお薬飲むから頑張るから見てて!」
そう言ってさっきまで拒否していた薬を一気に飲み干した。
「よく頑張ったね」
看護師の人も唖然としていた。
はるとは私を見てただ微笑んだ。
看護師が一礼をしてそのまま帰って行った。
「お母さんは?」
「今買い物中!僕のもの色々買わないとなんだって。」
「そっか、。」
「今日の学校どうだった?聞きたい!」
はるとはキラキラした視線を私に向ける。
学校に普通にいけないはるとにとっては私の学校の話を聞いて行った気分になる。これがはるとにとっての学校に行くということだった。
「はるとのお母さんに揃えてもらったショートカット褒められたよ!新学期っていって、クラスも先生もみんなみんな変わっちゃうの。でもこの髪の毛のおかげで頑張れる!はるとがいてくれてるみたいだしね」
私は明るく笑って見せた。
髪を切られて無惨な姿だった私にとってこの髪はいつもなら泣いてた。でも今は違う。
「そっか!いいなぁー、新学期。病院の学校はねいつも同じ人なんだけど何人かお空に旅立っちゃうの。もうすぐ僕の番なのかな。」
うつむき布団をにぎりしめている。その手の上に私の手を重ねちいさなはるとのてを何回も何回もなでた。
「大丈夫。お空にいったら友達も待ってるしお薬も飲まなくていいし、楽しいところなんだよ。」
勇気づける言葉が出てこなかった。はるとは自分の余命をよく分かっている。
「うん!先に行って待ってるからお姉ちゃんが来た時はまた一緒に遊んでくれる?」
再びはるとが笑顔になった時私は心の底から泣きそうになっていた。
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