40人が本棚に入れています
本棚に追加
その11
一回。
二回。
三回。
「…あれ。」
アイヴィーはガチャガチャとキーをひねり続ける。
「ゴン、これで合ってる?教習車と違うから、合ってないかも。」
「まあ、古い車だからな…。」
さらに数回。車はうんともすんとも応えない。
「アイヴィー、ちょっと代われ。」
ゴンちゃんが助手席からキーを回した。
「おかしいな。さっきまでは普通に…。」
メンバーで代わる代わる、エンジンをかけようとしたが、“ズギューン!”の機材車は一向に動く気配を見せなかった。
「ちょっとエンジン見てくる。」
そう言って、ゴンちゃんは社外に出て行った。ほかのメンバーも後に続く。
秋の午後は急に冷え込んでくる。
あと3時間強で、今夜もイカれた宴が始まる…はず。
ゴンちゃんはショージと共に、しばらくの間ボンネットを開けて格闘を続けていたが、やがて顔を上げた。
「ダメだ、JAF呼ぼう。」
最初のコメントを投稿しよう!