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その3
「ジャッキー、ご飯食べられる?」
「…うん。」
「もし無理だったら、もう少し先で食事にしてもいいよ。」
「おいアイヴィー、そりゃないぜ!俺はあそこの“わらじとんかつ”を夢にまで見てたんだ!」
「ショージ、ちょっとはジャッキーに気を使ってやれよ。」
「ゴン、俺にも気を使え!」
「…大丈夫。」
いったい、今回で何度目のツアーだろう。途中で数えることも諦めてしまった。それに、100回まわったら終わりにする、ってわけでもないからね。
「食い物ってのは、ツアーの醍醐味だろうがよ!」
「まあ、確かにそりゃそうだな。」
「サービスエリアでナンバーワンなのが、ここの“わらじとんかつ”なんだよ!ここは、絶対に外させねえぞ!」
「確かに、美味いからなあ。」
「でもサービスエリアじゃなくて日本中で選ぶなら、トップは味仙だな。台湾ラーメン!」
「おっ、いいねー。俺はそうだな、旭川のモルメン。」
「おー、モルメン!最高だな、また行きてえなー!旭川電気猫、確か閉店しちゃったんだよな?」
「沖縄の浜そばも美味かったよな。」
「うおー、覚えてるぞ!あれ央君と暁ちゃんに教わった店だよな!あいつら、元気かなー?」
ジャッキーは目を閉じて、体調回復につとめている。
「アイヴィー、お前は?」
「アタシ?」
グルメ談義は、ゴンちゃんとショージのツアーにおける“お約束”トークだ。アイヴィーに話が振られるのは珍しい。
「うーん…どこも思い出があるし、一つには決められないなー。」
「なんだよ、女ってのはいつもそうだな!」
「ショージ、お前に女の何が分かる。」
「ゴン、その言い方、長州だろ!そうだろ!」
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