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その4
サービスエリアの標識が見えてきた。休憩まで、あと1キロ。
「アイヴィー、分かった。じゃあ、いま一番食べたいのはどこの何だよ!ただし“わらじとんかつ”は除いて!」
「あーっ。ショージ、それズルいよ。」
「ダメだ!お前の心の声を教えろ!」
アイヴィーはつかの間、考え込んだ。
車はサービスエリアへの入り口に差し掛かる。
「…あ、分かった。食べ物っていうか、お店だけど。」
ジャッキーが目を開けて、アイヴィーをチラッと見た。彼女の回答が気になる程度には、回復してきたらしい。
「…仙台の、日下さんのお店。」
前の座席で、ゴンちゃんとショージがパチンと手を合わせた。
「ホームラン食堂!あー、行きたい行きたい!ぜったい行きてー!」
「確かに日下君の料理、何でも美味いからなー。」
「ねえ、明日の帰りに、寄れたりしない?直帰じゃなくても、この行程なら寄れそうな気がするんだけど。日下さんに、久々に会いたいしさ。」
「日下君、いるのか?週末だからネイキッドのライヴ、かぶってねーか?」
「ショージ、ネイキッドのスケジュール調べろ。あとナビで道も調べといてくれ。」
ゴンちゃんはそう言って、ハイエースをサービスエリアの駐車スペースにピタッと停めた。
「いや、やっぱりショージじゃダメだ。ジャッキー、頼む。」
「…いいよ。」
「よし、明日はホームラン食堂だ、よし、カレー食うぞ!ハンバーグも食うぞ!」
「ショージ、その前に今から“わらじとんかつ”でしょ。」
「当然だ!ホームラン食堂のこと考えたら、余計に腹が減ってきた!さあ、食うぞ!」
ショージは勢いよく、機材車のドアを開けた。
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