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その8
ショージの運転は、彼の性格をよく反映している。
つまり、車線変更が多い。急発進・急ブレーキが多い。落ち着かない。
それでも、他の3人は絶対に文句を言わない。
運転にクレームをつけたら、かえって事故につながるからだ。
ちょっとの揺れならガマン。
舌を噛まないように注意しながら、ゴンちゃんが話し始めた。
「仕事はどうだ、ジャッキー?」
「…順調だよ。」
荒ぶるショージの運転を少しでも落ち着かせるため、BGMはU2に変えられている。
「すげえよな。出会った頃は学生だったのに、今やIT会社の社長だもんな。」
「…一人でやってる会社だから。」
「それでも、すげえよ。何気にうちは社長バンドだよな。」
“社長バンド”という響きに、アイヴィーは思わず笑ってしまった。
「アタシは社長じゃないよ。個人事業だもん。」
「個人事業と社長って何か違うのか?」
横からショージが口を挟んだ。
「個人事業主って、会社を作らないでお店とか商売をやってる人のこと。肉屋のオジサンとか、八百屋のオジサンとか、ああいう感じかな。」
「アイヴィーはオッサンってことか?」
「はいはい、それでいいよ。アタシはオッサン。」
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