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あたしとタチバナ、リンゴちゃんとコハクの四人は、ペンションの玄関前に、一列に並ばされた。
作業服にヘルメットのおじさんが、いかめしい顔で立っている。
このおじさんは管理会社の人だったらしい。
ペンションを取り壊すことになったので、下見に来ていたという。
「お前ら、藍高の制服だな……」
「はあ……」
「空き家だって、住居侵入罪になるんだがんな」
「ごめんなさい……」
あたしたちは、ショボンとうなだれて謝った。
おじさんは、わざとらしいくらい大きなため息をついて言った。
「まあ、裏口を開けっぱなしにしていたおじさんも悪がったがらない。
反省してるようだし、今回は見逃すけども。
もっと健全で、文化的な遊びをすっごとだな!」
よかった……。本当によかった。
高校とか、親とかに通告されたら、やばかった。
演劇部だって、ピンチだったかも。助かったあ。
「おじさんココロ広い。大好き!」
思わず快哉を叫ぶと、タチバナが、あたしのひじをチョンとつついた。
見あげると、すごく冷たい目をしている。
さっきまであんなに優しかったのに。
えーん。なんで? 哀しいわっ。
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