あのゴーストペンションで

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表紙にはおどろおどろしい写真とともに、「心霊スポット特集」という文字がおどっている。 「ねえ、これ、参考にならないかなあ」 あたしが本の表紙を見せると、リンゴちゃんは考え込むように、くちびるに指を当てた。 「ホラーは苦手なんですけど。 そうですね、たとえば高校生カップルが、心霊スポットに遊びにいく話だったら……」 ……いいんじゃない、心霊スポット。 一緒に行けば、リンゴちゃんは、ネタ作りの参考になるし、あたしはタチバナと……えへへ。 あたしはタチバナの腕をゆすって言った。 「ねえタチバナも、一緒に行くよね。ドキドキするね!」 「えー。気が乗らないなあ……」 タチバナは、気だるげにそう言って、頬杖をついた。 「さては……、怖いのね。かわいいわ!」 タチバナは、「は?」というような冷たい視線を、あたしに向けた。
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