物語第二夜 ~夢の中~

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※キオクガリセットサレマス  はっ。  夢か。  それにしても記憶がリセットされますって、変な夢だったな。別に何も忘れてないけどな。  はぁ、なんか目が覚めちゃったし、ちょっと早いけどシャワー浴びて会社行くか。 (シャーーー、キュ、キュ。)  いつものスーツに身を通し、燃えるゴミを1階のゴミ置き場に捨ててから、俺は駅に向かって歩き出した。  信号が青になり横断歩道を渡っていると (プップッーーー。)  え? (ドンッ。) (キャーーー!) (おい!誰かひかれたぞ!)  確かに信号は青だったはずなのに、、。 ※リセットサレマス  はっ。  何だ夢か。  それにしてもリアルな夢だったな。何か目が覚めちゃったし、少し早いけどシャワーでも浴びて会社に行こう。  (シャーーー、キュ、キュ。)  いつものスーツに身を通し、燃えるゴミを1階のゴミ置き場に捨てて駅へ向かう。  交差点の信号が青に変わったのを確認し、渡ろうとしてふと思い出す。  確か夢では、この後ダンプが突っ込んで来るんだったよな。 (プップッーーー。) (あぶねーな!このやろう!)  本当に突っ込んで来た。  どうなってんだ、って、ふざけんなよ!信号無視して突っ込んで来たのはそっちだろうが、、、って、青じゃない、確かに青になったのを確認したはずなのに、、、。今、青になるなんて。  まあ良いか、夢のおかげで何とか事故に遭わずに済んだんだから。  駅に着くと改札を抜け、ホームの1番前のいつもの場所で電車を待つ。  電車がホームに入って来るのを確認し、一歩前へ出る。  あっ。 (ドンッ。) (キャーーー。) (おい!誰かが電車に飛び込んだぞ!)  いや、俺は飛び込んでなんかいない、誰かが押したんだ。 ※リセットサレマス  はっ。  また夢か。どうなってんだ。本当に電車に撥ねられたと思ったのにこれも夢だったなんて。さっきの交差点でのダンプもそうだし、今回だって、、、。  もしかして何かそういう能力にでも目覚めたのかな、俺。  今度こそは現実のはず、まずは、そう、シャワー浴びてスッキリしよう。 (シャーーー、キュ、キュ。) いつものスーツを着る、燃えるゴミを出して会社へ向かう。そして最初の関門である交差点で青になるのを待つ。青になったのを確認して、でもとりあえず一度立ち止まる。するとやっぱりダンプが突っ込んで来た。今回はそのまま何事も無くやり過ごせたが、信号はなぜか赤だった。  そして青に変わる。  駅に着いて改札をくぐり、ホーム1番前のいつもの場所で電車を待つ。でも俺は知っている。誰にも押されないように電車が停車するまで線路の方には近づかない。  無事電車に乗ることが出来、その後会社へ到着した。  5基あるエレベーターのうち3基は上に、4基目も今、扉が閉じたところだ。立て続けにエレベーターが来たようで、待っている人は周りに全然居ない。俺は5基目のエレベーターがもう少しで来そうなのを確認すると、胸ポケットからスマホを取り出しメールを開く、メールを見ながらエレベーターの扉が開いたのを、何となく視界にとらえてエレベーターに乗り込んだ。 乗り込んだはずだった。 えっ。 (ドンッ) (キャーーー。) (おい!誰かがエレベーターに落ちたぞ!) ※リセットサレマス  はっ。  これも夢、、、なのか?  俺はいったい、、、。  もう何がなんだか分からない。  でも一つだけ分かった事がある。  何処かで起こるターニングポイントで、死を回避出来れば次に行く事が出来るようだ。今回はそれを意識して何とか死を回避しよう。もしかしたら無事家に帰って来る事が出来れば、この夢から抜け出せるかもしれない。そうと決まればまた一からやり直しだ。  そう、とりあえずシャワーだ。 (シャーーー、キュ、キュ。)  いつものスーツ、ゴミ出し、そして駅へ向かう。交差点では青になっても渡らない。予定通りにダンプが通り過ぎるのを見送る。駅に着いて改札を抜けてホームの1番前まで行って壁に背中を預ける。電車が入って来ても動かずドアが開いたのを確認してから車内に乗り込む。   ここまではもう分かってる、経験済み出し、順調に物事は進んでる。  そして会社に着いてエレベーターを確認する、やっぱり3基は上に行ってて4基目の扉がちょうど閉じるところだった。今度はスマホをいじらず、エレベーターの扉が開いて中にちゃんと乗り込める事を確認してから、エレベーターに乗る。  その後は意識して死を回避しようとしていたからなのか、とくに何事も起きなかった。そのせいか調子に乗って残業までしてしまい終電ぎりぎりで俺は会社を出た。  確実に油断していた、気が緩んでいた。もう何も起こらないと勝手に決めつけていた。まさかまだあったなんて。  自宅の最寄り駅に着き、改札を出て4・5分くらい歩いただろうか、いきなり後ろから頭に黒い布を被せられ両手を縛られ車に乗せられる、行き先は分からないが、今のがターニングポイントだったのは分かった。  だってこの平和な日本で拉致って普通に生きててある?って言いたくなる。  30分くらい走っただろうか、どこかに入って車が停まる。ドアが開き俺は降ろされ椅子に座らされると、体を拘束されてやっと目隠しを外される。ドラマで見たような倉庫の中に俺は椅子に拘束されて座っている。強面の男が3人、その内の1人が俺に拳銃を突きつけ聞いてきた。 (あれをどこに隠した。) (あいつに預けてある。)  完全にターニングポイントで失敗した俺は、一刻も早く最初に戻る為、最短で殺してもらえるように話を合わせる。 (そうか、もうおまえに用は無い、死ね。) (ズドンッ。) ※リセットサレマス  はっ。  ほらね、やっぱり夢だった。  くそっ、折角クリア?出来たかもしれなかったのに、油断した。今度こそ絶対に家に帰って来てやる。とりあえずシャワーだ、シャワー。 (シャーーー、キュ、キュ。)  スーツ、ゴミ出し、出勤、交差点ではダンプをやり過ごし、駅に着いたら線路に落とされず電車にちゃんと乗り、会社のエレベーターは中がある事をしっかり確認してから乗り込んだ。  その後もちゃんと意識して仕事をこなし残業はせず就業時刻に帰宅の途に着いた。  さあここからが本当の勝負、前の時は調子に乗って残業なんかしたせいで帰りが遅くなって人通りの少ない近道を通って帰ったのがいけなかった。今回は定時に終わらせて帰ってきたおかげで人通りが多い道を通って帰れる。  周りをキョロキョロしながら歩いている俺に周囲の目は冷たかったが、無事マンションまで帰って来れた。念の為、エレベーターには乗らず5階まで階段を使う。そしてやっと部屋の前まで辿り着いた。  やっとリセットされずに帰って来られた。  きっとこれでこの変な夢も終わる。  さあ扉を開けて中に入ろう。  一人暮らしの俺には絶対言わない言葉も今日は言いたい気分だ。 (ガチャ。)  ただいま。 ※オメデトウゴザイマス ※10カイメノステージクリア  ※カクニンシマシタ  ヨシ!キターーー!  ん?10回目? ※キオクガリセットサレマス  え?  はっ。  夢か。    それにしても記憶がリセットされますって変な夢だったな。 (囚人番号823番、夢期懲役刑執行完了しました) (ご苦労様でした、では次の囚人よろしくお願いします。) (はい、かしこまりました。)  
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