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Sonny Boy 後半
前回サニボを紹介したのが六話だった時。今考えると六話の時点で私に感想を書かせるサニボが異常でした。ほんと化け物アニメだ……
さて、今回は七話から最終話までのsonny boy(通称サニボ)の感想となっています。ネタバレが入るんですけども正直バナナフィッシュ程ネタバレ厳禁ってわけではないです。そもそものストーリーが難解なので。
特に後半のサニボで好きだったのが八話と十一話と十二話。それぞれ語っていきます。
八話 やまびこっていう元人間の犬が作中登場するのですが過去をじっくりやってくれた回です。御伽噺のような雰囲気で世界観もいつものサニボとガラリと変わっているように感じました。一種のチート能力を持った少女こだまとやまびことの出会いと別れの物語です。
六話を超える演出はないだろと思っていたらあっさり越えられて口あんぐり。
しかも別のベクトルから。
八話の特徴はその映像美とストーリーの美しさです。
戦争という名を持った男、湾岸戦争を想起させる1カット、タスマニアデビルの癌を元にした腫瘍。モチーフも印象的でした。
空中泥棒の浮遊しているような神秘を感じさせる楽曲も絶妙にマッチしていました。特殊エンディングだったし(大好物)
八話は一貫して好きで何度見返したかわからない程です。
11話 葬式をして、宇宙へ旅立つ話です(知らん人からしたらなんのこっちゃ)
冒頭からLight shipという曲が流れるんですね。私はサブスクの方でサニボのサントラ聴いててこの曲いいなぁと思っていたんですけど。まさかこのシーンに使われるとは……
葬式の準備でさえ爽やか。鯨幕を青のペンキで塗るシーンは文化祭の準備かな?みたいな爽快感が。明るいのに私はずっと泣けてしょうがなかったです。こんな死の表現があるのかと愕然とさせられました。
話の後半、死の概念についても考えさせられます。死を発明した男の話。生物としての死以外の死ってものを考えたことがなかったので。
冒頭のシーンは二桁ぐらい見たと思います。そのぐらい衝撃的でした。
それから名言。「恋の色眼鏡は度がきつい」
12話 最終話です。はぁ……もう鼻水がたらたら流れてどうしようもない……11話以上に泣くことはもうないと思ってたらコレですよ……大人びた長良。でもそれは歳月によるものだけではなくてハテノ島での経験からくるものなんだろうな。表情の作画とかすっごい秀逸です。
視聴者からしてみたらとっても切なくてビターエンドとも言える終わり方。でも長良は笑顔なのがこれまた沁みる。希が望んだ世界っていうのもしんどい。
そして最後まで漂流の原因が語られることもない。
それでいいんです。
その空白が作品の余韻を作り出しているんです。考察の余地もあって良い。
想像を遥かに超えた最終話でした。こんな良い着地をするだなんて考えられなかった。とにかく素晴らしくってすべてを言語化するのは不可能です。
見るたびに泣いてしまうのでティッシュは不可欠。
さぁて作品全体の感想に移りますか。まず私、1話をみて思ったことは「ものすごく微妙なアニメになるか世紀に残る名作になるかのどちらか」
前者の確率が90%だと思っていました
今私は断言できるんです。このアニメは後者だったって。
全話通して描かれたのは長良の成長と卒業。別に長良だけに関わることじゃなくて。裏主人公とも言える朝風の成長だって見えました。
中学校三年生という年齢設定の秀逸さ。等身大の中3の心の繊細さ、未熟さ。
同じ年齢ということもあって共感がすごくできたし、大人がこれを描けるのに感嘆しました。
高校生ではサニボの青春は描けません。
あとマッドハウスのぬるぬる作画とこだわり。誰も見ないでしょみたいな部分を細かく描いてくれる。長良の電気代節約の蛍光灯とか魚の塩焼きの描き込みとかロケット発射シーンとか。
本気度が感じられて非常に好きです。
それから楽曲。オープニングなしで特殊なんですけど毎度挿入歌がありまして。いろんなアーティストの楽曲を使いまわさずにここぞという場面で使う。1話なんて最後まで無音で通している。
音楽が単なる背景ではなく、主役ともなるこの特殊な使い方。最高です。おかげで触れることのなかったアーティストを知れましたし。ここ最近見てきたアニメで一番音楽が最高でした。
1話見た時点で不安しかなかったアニメでしたが(笑)今となっては私を構成する肉の一つとなったと思います。好きなアニメと聞かれて間違いなくサニボと答えます。
意味不アニメだとかつまらんとか一部の人に言われるのはしょうがないかもしれません。ただ一度、6話まで見てその勢いで全話見てほしい。短編集のような感覚で見るときっと好きな話が出てくると思います。モンキーリーグで切っちゃうのほんと勿体無いので。
全話見た結果つまらんとか好きだったとか思うのは個人の勝手で。万人受けすることもないだろうし。
ただ言っておきたいのは伏線回収を期待しちゃダメです。そういうアニメじゃないし、わからないことを心地よさに変えて見るアニメなんです。そういうことを言うのは野暮ってもんです。
一から十までを説明しない。そこに良さがある。
みなさんがsonny boyに触れてくださって何か感じてもらえたらサニボファンとしてこれ以上のことはございません。
長くなりましたが今回はここまでとしておきます。
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