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犬王
言語化できない何かが潜む怪作であり傑作
知っての通り見てきましたーー!前から見たいと思ってまして!だって湯浅監督で、アヴちゃんが声優つとめるんですよ?見ないわけが無いですか?友達と轟音上映で見てきました!
まず、作画とカメラワークが凄く良かった......!!大画面で見て良かったって思える映像。犬王が走るシーンとかの疾走感。それから一番鳥肌が立ったのは室町殿のシーン。渡殿を進んでいくカメラワーク。あのシーンだけ無限に見てられるなぁ。どのシーンもカメラワークが変態的。それだけで満足してしまった私もいた。
そしてなんと言ってもライブシーン。これが映画でかなり大きな役割を果たしている。感想で応援上映が欲しいっていう声を多く聞いたんだけどライブシーンを見てよく分かったなぁ。拍手したくなるしコールしたくなる。応援上映絶対楽しい。そう思いながら黙って画面に食いついてましたよ。でも轟音上映だったおかげで音響がすんばらしくてアヴちゃんと森山未來の歌声を十分に堪能できた......!!!女王蜂ファンなら楽しめるはず!!
これほんっっとにびっくりしたんだけど声優陣の違和感が全くない。特にアヴちゃんの演技が非常に良かった!!!俳優さんとかを起用する映画って多いけど違和感があるのも事実。犬王は違和感感じないし見事にハマり役だな......と。こういうキャスティングなら大歓迎なんですよ!!!!
ストーリーはテーマがちゃんと置かれていて一貫性があってよかったなぁ。物語のキーワードはやっぱり「名前」なんだと思う。登場人物たちは名前によって自分を定義してその自分らしく生きていく。凄く今らしいな、と感じた。それから権力者の事情によって消される文化。あの場面本当にしんどいものがあったな。表現の自由をめぐってさまざまなことが叫ばれている今響くものがあった。
見ていて気づいたけど犬王は一見自由奔放に生きているようでとても「適応」が得意な人物。そして友有は激情を秘めた人物。すごく凸凹コンビなんだよね。だから終盤の二人の決断が真逆だったんだな......(犬王が友有のことを思った決断だったの死ぬほどしんどい)
バディとしての描かれ方は弱かったけど宴のシーンだけでも胸熱になっちゃったな。友有が酒に口紅をつけるの美しささえ感じたし人生の春って感じだった。
くぅーたまんねぇ!!!
そんな感じで良いところはいっぱいあるんですよ。ただ完璧じゃないっていうのがこの作品のミソだと思ってまして。
難点はあるんですよ。私の場合は音楽にそこまで魅力を感じられなかった(鯨の歌は好きです)ラストの余韻はもう少しあっても良かった(正直もう終わるの??って)バディ感がもうちょっと欲しかった
正直なところ中盤までは「うーーーん」っていう感想を抱いていたのは否めないんですよ。じゃあなんでパンフレット買っちゃったかっていうと。友有の死のシーンですね。あの展開。その激しい動きの後訪れる静寂。あの犬王の舞を見た瞬間涙が溢れてしょうがなかった。たくさんの感情が押し寄せた。あの瞬間細かいことどうでも良くなって。これが湯浅監督作品か......!!!!天才のなせる技でしたね。あの時の感情の昂り。もう訪れるかわからないな。
難点は多いけれどそれを超える何かが潜んでいるんです。確かに賛否両論あるのは分かるんですよ。でもこういう挑戦作がこれからもっと増えてくといいなって。ちょっとでも気になったら映画館で体験してくるのが一番だと思います。映画館ならではの没入感がないと味わえないものがあります。
どうかこの作品が評価されますように。
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