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おやすみプンプン
『おやすみプンプン』は、浅野いにおによる漫画。2007年から『週刊ヤングサンデー』に、同誌の休刊により、その後2008年から2013年まで『ビッグコミックスピリッツ』に連載された。単行本は全13巻。累計発行部数300万部。
どこにでもあるような街のどこにでもいそうな少年「プンプン」の波乱に満ちた半生を描いた作品。
この作品の大きな特徴に、主人公である「プンプン」やその家族、親戚のみ“落書きのようなヒヨコ”の姿で描かれておりその名前に加え、周りの人物や情景などの高い描写力からは浮いた存在となっている。加えて、作品内でコラージュ的な表現を用いたり、一部の人物に話の進行とは無関係な奇行を描いたりと、実験的なシュルレアリスム表現がみられる。
Wikipediaより引用
はい、読みました!!精神が壊れているときに読むと本気で自殺を考えるようになるといわれている本作。そう、伝説の鬱漫画なのです。
私は鬱に目がないので気になっていたところ……漫画研究部の友が貸してくれました!!!!めちゃくちゃにうれしかった!!私は私でBANANAFISH単行本をかしたわけですがふへへ。鬱漫画取引(実はブラッドハーレーの馬車も借りました。あれも救いがなさすぎる)
十三巻とかなり長いわけですが一か月以上かけて貸してもらったのでダレることなくむしろ早く読みたくてしょうがなく。(噂によると一気読みは冗談抜きで病むんだとか)
少年時代はまぁ病むほどの鬱じゃないんですよ。少しずつに日常が壊れていっているだけで(それでも伏線とかがいっぱいだし、せっかちにならずにゆっくり読み進めてほしい)
ターニングポイントになったのは高校時代なんじゃないかなと。あそこから鬱の波が押し寄せっぱなし。その辺の巻から毎巻、泣けてしょうがなかったんですよね。感動とかじゃなくて。漫画にぶん殴られる感じ。涙腺に直接訴えかけるものがあってあれを感動という言葉では済ましたくない。
なんなんだろうな。今でも私は言語化できそうにないです。
何かの解説で見たのが「登場人物の誰かが自分や友人に似ていてその登場人物が不幸になっていくから感情移入してしまう」
そう、登場人物いかにもいそうなんですよ。すごく人間らしい。おやすみプンプンの鬱漫画たりえる最強の成分はここだと思います。突飛な鬱じゃなくてかぎりなくリアルに寄せてくるんですよ。人間の感情ストレートジュースなんですよね。それだけでもう鬱なんですけど、主人公家族がヒヨコの形してるので外見とかをこちらで勝手に想像するわけですよ。そのうちに勝手に感情移入してる……っていう。怖すぎませんかこの仕掛け。
これがただの鬱漫画じゃねぇなって……
んでここまで書いていて気づいたんですけどネタバレ抜きで語るには無理があります。ここから以下ネタバレあり感想とさせていただきます。
愛子ちゃんの母親を殺して逃亡するシーン。大好きなんですよ。あの一連の流れ。泣きまくってしまって。っていうのも出てくる場所が私が行ったところばっかだったんですよ。箱根のシーンでまず泣いて見開き富士山で心の堰が壊れる。関東人はあそこでもれなく情緒が壊れるんですよ。そこまで計算されていたら恐ろしい漫画家ですよほんとに。
からの種子島ァ!!!!!!!!!!!!私の夏の思い出が……
まさか種子島出てくるとは思わなくてほとんど過呼吸でした。これは私のための漫画なのか?って本気で思いましたもん。
それだけで最高なんですけど二人のどろっどろの依存関係が最高に鬱です。特にプンプンが完全に狂ってるのがこっちの精神えぐるわけですよ。コンビニで他人殺したときは呆気にとられてしまった。どこからこんなに狂ってしまったんだろうって。
極めつけは愛子ちゃんの自殺。おぶさって歩くシーンが印象的でした。そこに重なるプンプンのポエム。これが鬱くしいか……!!!!!!!!プンプンのポエムはずっとキレキレでオサレなんですけどこのシーンだけ段違いでしたね。好き……
あと泣けすぎたのはプンプン母の死でしたね。この人、人間らしさをぎゅっと詰めたような人間で……プンプンにしてみれば毒親でしかなかったんだろうけど憎めないところがある人でしたね。というかあそこでハルミンが出てくるとは思わないじゃないですか。
あの展開は一生忘れられない。
そしてすべてが終わった後のハルミン視点。読み終わったとき私はなんだ、ハッピーエンドじゃないかって思ったんです。
いや恐ろしいですね。よく考えてみろよハルミン視点だぞ?????
プンプンは自殺した恋人の呪縛から離れられずに生きている。それが終盤の愛子ちゃんオンリーのシーンからも分かるわけで。
他人から見れば幸せに見えてもプンプンは一生こんな出来事を抱えて生きていくんだなって思うと寒気がしました。
これがメリバ……
本当におそろしいなこの作品。
それから私が好きでたまらないのが関くんと清水の関係。おやすみプンプン史上、いや漫画史上でもトップクラスのクソデカ感情ですよ。だからこそ清水が記憶を失って関くん→→→→清水っていう関係に落ち着いてしまう(もともと関くんの方が清水に対する思いは強かったように思える)
あの後前みたいに戻れてたらいいんですけどね……もし戻れていなかったら関くんはプンプン同等にとんでもなく重いものを引きずって生きていくんですね。は……こわ
この漫画自体、南条幸の描いたものっていう最後の回収もたまらなかったし、最後のページでループしてるのも鳥肌ものでした。語ろうと思ったらずっと語れるんですけどとりあえずはここまでにしておきます。
そうですね。……グッドバイブレーション。
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