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「では、あたし……元カノさんと鉢合わせしないうちに帰ります」
今はフリースワンピの部屋着姿だし、荷物も多いことだから、ジャケットを羽織ってこのままタクシーで帰ろう。
ここからだと家までかなりの金額になるが、どうせ宝くじの当籤金は、バレるのが怖くてこの部屋の購入資金以外は万里小路氏が言うとおり、ほとんど手付かずのままだし……
そう思いながらソファから立ち上がろうとすると、万里小路氏があたしの腕をとった。
「待って。きみには帰らないでほしい。
麗華がきちんと説明すると言っている『事情』を、きみにも一緒に聞いてほしいんだ」
まるで縋るような目で、下から見上げられた。
万里小路氏とは短い付き合いではあるが、この彼がこんなふうな殊勝な態度になるのは、かなりのレアケースだろう。
でも……あたしの心の中の、真っ黒なモヤモヤが……どうしても消えてくれない。
「……あんなに綺麗な元カノさんがいるんだったら、最初からあたしなんかじゃなく、あの女に頼んだ方がよかったんじゃないですか?」
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