Last Chapter

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そのとき、♪ピンポーンと軽やかなインターホンの音が鳴った。 スマホのディスプレイに、玄関のドアの前に立つ麗華さんの姿が映る。 『麗華よ。早く開けてちょうだい』 彼女を確認した万里小路氏がスマホを操作して、玄関のドアを解錠した。 ドアを開けて玄関の中に入ってくる彼女の様子が、ディスプレイに映し出される。 ——もうすぐ、このリビングにやってくる。 あたしは、近すぎる万里小路氏との距離を取るため、ソファの端に移動しようとした。 ところが、そのとたん、すかさず彼の腕があたしの腰にまわされて、がしっと「固定」された。 それでも、少しでも離れようと(もが)いていたら、もっと彼の方へ、ぐいっと引き寄せられてしまった。 ——お、お互いの身体(からだ)が…… み、密着してるんですけれども……っ! 思わず万里小路氏の顔を見ると、至近距離で目が合った。 すると、彼が「中谷さん」のように、やさしく微笑んだ。 その瞬間——あたしの心臓が、どきり、と音を立てた。 ——この笑顔が、彼の「演技」だと…… わかっているのに……
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