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私がかける言葉を見失っているうちに、彼女は訥々と話し始めた。
「私、お母さんに捨てられたの。要らない子なんだって。だから、こんな遠くの文明の滅んだ星に置き去りにされてしまったの。」
信じられないことに彼女は遥か彼方の星で生まれたらしい。少し前まで、お父さんとお母さんと彼女の三人で仲良く暮らしていた。ところがお父さんが不慮の事故で亡くなり、お母さんはその星を離れることに決めた。
だけど行く当てもなく彷徨っているうちに、お母さんはどんどん壊れていった。ソウに暴力を振うことも増えて、そんな自分が許せなくて、そうして彼女をこの辺境の星に置き去りにした。
「仕方ないの。私もお父さんとの思い出だから。お母さんはお父さんとの思い出を全部なくしてしまいたかったのよ。だって、辛いもの。」
星を見上げたまま目を合わせない女の子は、私なんかよりずっと大人に見えた。
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