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四人の青空
「あっ」
スイーツを食べ尽くし、四人でゴザの上を片づけている中。突然静也が、何かに気づいた様子を見せた。
「どした?」
「あのー、今パーカーのポケットに手入れたら……そのー、今日のレシートが……」
「なにっ、見せろ!」
すぐさま翔が静也の腕をポケットから抜き出そうと飛びかかる。
「ちょダメダメダメ!」
ここに来てまた変な展開になるのは勘弁してほしい俺は、翔に続いて静也に飛びかかった。
「え? 僕も行った方がいい?」
「いいよ凛音まで来なくて!」
「ちょ、痛い痛い」
静也の右手がパーカーから出てくる。そこには一枚の白い紙が握られており……
「見ちゃダメだ!」
俺はそのレシートに手を伸ばし、親指と人差し指で何とかつまんだ。俺と静也の間に、翔が割り込んでくる。その瞬間、翔の重さに耐えられずに俺は横に倒れこんだ。
レシートから手が離れる。するとそれは突然吹いた強風に乗り、静也の手をもすり抜けていった。
四人で、ただ空を見上げる。
レシートは、ひらりと舞い上がり、桜の花吹雪の中に消えていった。
〈完〉
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