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栗木梓 -朝-
目が覚める。
長年の寝相の悪さで剥き出しになっていた足が、とても寒い。1度暖めるために、膝を曲げて潜り込み、毛布を蹴って整える。……やはり、温い。
安心できるこの空間が、1番好き。
けど、いつまでもここにもいられない。社会人なんだから、当たり前だけど。暖まってきて、今なら行けそうな気がする。
また眠気が襲って来ないうちに、名残惜しいが勢いでその場を後にした。
「よいしょっ……と」
動作を始める度に掛け声がかかるのは、もうクセみたいなものだ。多分、両親の影響。別に身体が重いとかじゃない。言い訳でもなく、実際体重は年々減ってる。
顔を洗って、髪を整える。同じ性別の人に比べたらかなり短いけれど、その分、はねているのがバレてしまう。……別に困らないけど、社会人としてはどうかと思う。
最近、胃が疲れているのかもしれない。朝ごはんのことを考えただけで苦痛だ。だから今日も、台所の2番目の棚からゼリーを取り出す。栄養も取れるし、問題はないでしょう。……昼は、食べるし。
外には出たくない。人に会いたくない。けど、全部やらなきゃ生きていけない。生に執着してるかって言われたら、首を傾げてしまうけど……餓死はさすがに遠慮したい。
……誰にも会わずに、1日が終わればいいのに。
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