1人が本棚に入れています
本棚に追加
word1 「このパソコン 何」
ある日の夜、就寝の為に自室に入った僕は見慣れない光を見た。暗闇をぼんやりと照らす淡い光だ。
なんだこれ――。
蛍光灯のスイッチを入れると机の上に現れたのは謎のパソコン。黒いノートパソコンだった。ディスプレイがあってキーボードがある。黒いマウスもセットだ。一見したところ何の変哲もないごく普通の代物。
謎なのはなぜそんなものが自室の机に置いてあるか、ということだった。
僕は自分用のパソコンを持っていない。まだ高校2年生だからスマホは与えられていてもパソコンは親から与えられていない。だから、昨日までそこになかったパソコンが部屋にあるのはおかしいのだ。
近づいてよく見てみる……。そうしてみても、やはり特におかしなところはない普通のノートパソコンだ。画面は起動したばかりのパスワード入力画面のようで、黒い背景に白色のワードボックスが中央にぽつりといるだけ。
親のパソコンはこんな色だったか。いや違う。僕の家には黒色のパソコンはない。友達の家でも親戚の家でもこのパソコンは見たことが無い。誰かがここに間違えて置いていったという線は薄い。
じゃあもしかして僕へのプレゼントか。大きくなってきた僕へ親からのサプライズプレゼントだろうか。
少し嬉しい気持ちが顔を見せる。しかし、誕生日もクリスマスも今日からはまだずっと先だ。だとしたら……。
最初のコメントを投稿しよう!