1人が本棚に入れています
本棚に追加
「このパソコン 何だ」
僕は独り言でぼそりとつぶやく。
するとその時パソコン側からコンタクトが取られた。
「コノパソコン ナニ ケンサクワードハコレデヨロシイデショウカ」
「え」
車のカーナビみたいなイントネーションで女性の声がする。僕は画面に顔を近づけて何が起こったのかを確認した。
中央のワードボックスに「このパソコン 何」と入力されている。
あ、何かAIのヘルプ機能みたいな感じのやつかな――。パソコンの知識が乏しい僕はそう思った。そして機械音声の言う通り軽く操作させてもらえば謎のパソコンの正体に辿りつける気がしたのでパソコンに座る。
この場合そのままEnterキーを押せばいいよな。それしかない。ほいっと。
弾むようにキーを叩く。そのほうが気分が良いので2回。これでユーザーネームとかが見れたら話は早い。
ワードボックスが消えて代わりに画面中央にグルグルが表示される。スマホでも動画を見る時なんかによく見るロード中のグルグルだ。
最近のパソコンは進化したんだな音声認識とは。腕を組んで数秒間グルグルが消えるのを待つと、次に画面に表示されたものを見て僕は眉をひそめる。
予想外にそこそこの長文がそれだけで画面に表示される。
「このパソコンにはありとあらゆる全ての疑問の答えが入っています。あなたは気になる言葉を入力することでその答えを知ることができるでしょう。しかし、それにはルールがあります。答えを検索することができるのは1日に1度だけです。1日に1度であればどんな質問にも答えることができます。宇宙のことでも、未来の事でも。そう、このパソコンならね。」
英語を翻訳したかのような文で構成され文章。その内容を読み解くと最初に抱いた疑問はより深いものとなった。
「いや……何だよこのパソコン」
最初のコメントを投稿しよう!