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成瀬から捜査一課に連絡が入ったのは、12時を回った頃だった。 「窃盗の現行犯でホシを確保している。今すぐに応援を頼む」 と、その割には落ち着いた声で電話をかけてきた成瀬は、笑いながら続けた。 「早くしろ。一般人が二人がかりで取り押さえているが、限界が近いようだ」 たまたま洗濯物を取りに居合わせた、例の事件で知り合った九石と、これもたまたまその場に居合わせた住宅メーカーの職員が、成瀬が男と取っ組み合っているのを見て、助けてくれたらしい。 「彼らがいたからよかったものの、危なかったですよ。その体で―――。あれ?」 琴子は成瀬を見上げた。 「……壱道さん、具合よくなったんですか?」 顔色もよくなり、熱そうにスウェットの腕をまくっている成瀬は、こちらを見下ろしニヤリと笑った。 「少しばかり運動をしたからな」 「―――もう……」 「刑事さん!」 その時、ドアが開き、髪の長い女性が駆け込んできた。
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