輝く夢をつかめ

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リュウショウが世界中で集めたテストプレイヤーは一〇〇人。その中から"ウェザーズテストプレイヤー杯予選"を勝ち抜いた選りすぐりのプレイヤーがトップリーグに勝ち進み優勝者は莫大な賞金をゲットできる。 しかもウェザーズは一般販売がされていない段階で、この一連のプロセスをインターネットで公開してしまうという。これは大がかりな宣伝でもあり、リュウショウが考える"もう一つのゲーム"の一環でもある。 ウェザーズテストプレイヤー杯予選まで3ヶ月。ゲームのこつをつかみ、このゲームを左右する気象というものを理解するには短すぎる期間だ。 今、このゲームには大まかに言って二種類のテストプレイヤーがいる。 ゲームは得意だが気象学等の知識が乏しい者、そしてゲームは苦手だが気象学やそれに関連する知識に長けた者だ。 コウサクとゲンは明らかに前者である。 ゲンはインターネットを通じて何人かのテストプレイヤーとやりとりをした。 「ハイ、ぼくはゲン。このゲームの基本的なゲーム性は理解できたけど、どうしても緻密な気象シミュレーションが壁になるんだ。たとえば突然フィールドに風が発生して風に弱いドローンが負けちゃったり……」 「ハイ、わたしはテフ。なるほどゲームばかりしていて自然の表情を読むのが苦手なのかも。わたしたちは世界中を旅していてあなたたちの街にも寄る予定があるんだけど一緒に合宿しない?野外で天気を読む練習すれば気候シミュレーションになんて振り回されないと思うよ」 ゲンはテフの顔写真が添付されたメッセージをコウサクにも見せた。テフは明るい表情が印象的な、ヒマワリのような美女だった。 なぜかコウサクは無言で背中を向けてこう言った。 「ダメだ、ダメ。男たる者、女と仲良くキャンプなんかできるか。ゲン、合宿とやらに行きたきゃお前一人で行け。俺はどうせ気象学なんざ覚えきれん。ゲームの腕前だけで勝負するさ」 「でもコウサク。テフの自然のなかで天気を読む練習って有益そうですよ」 「そうかい。たしかにフィールドの天気の変化を先読みできたら強いよな。理屈じゃなく身体でそれを身につけるのも俺向きかも。で、でも俺は独自に練習させてもらうぜ」 コウサクは写真のテフの顔をまともに見れない。 ゲンはニヤニヤした。 「あ、もしかしてコウサク。このテフっていう人のこと気になってますか?たしかに美しい女性ですよね」 「そ、そんなんじゃねー!」 コウサクは顔を赤らめた。
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