プロローグ

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プロローグ

人類はどこまで理性的になれるのだろうか? 科学文明がこれほど発達したこの世界で、この街にはそんな問いを打ち消すような砂嵐が吹く。 この街は、ふるさとを捨てた者や祖国を追われた者たちの吹き溜まりである。 ゲームセンターのすみに備え付けてある八〇年代産のブラウン管TVは健在で、トルコのニュースを受信していた。 「今年も地球温暖化の影響で北極の氷がたくさん溶けてしまいました」 このゲームセンターは、ただの遊び場ではない。世界中から集まったはぐれ者にはゲームやダンスのような遊びがコミュニケーションツールになるし、賞金のつくゲーム大会もあり、それで食っているやつらもいる。 そう、ここは社交場でもあり仕事場でもあるのだ。 日本という国から渡ってきた二人の若者にとってもこのゲームセンターに通うことはとても大切なことだった。 「なあ、ゲン。おれもうちょいでランク上がりそうだぜ」 「よかったじゃん。コウサク。ぼくは新しい戦略ゲームに目を付けてるんだ」 「ほう、きっとそっちのがお前らしいよ。お互い頑張ろうぜ」 こうしてまた二人はゲームセンターに通うのである。 その日は、すこしばかり雲行きが不穏だった。
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