人間に恋した狐

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「…ぅ…あれ…そのまま寝たのか…ふぁー…ねみー…仕事、行かないとな」  狐はスマホのアラームの音で目が覚めた。あくびをしながら仕事に行く支度をしていた。 「…子供?…(ここで亡くなったのか…)」  仕事が終わり近くに止めてある車をとりに行こうと狐が信号待ちはしていたら子供の霊が漂っていた。  その子供の霊を助けようとした人が狐の隣から現れて信号が赤のままなのにその人は飛び出そうとした。 「危ない!」 「!?…(何やってんだ!)」  狐はその人の腕を掴み自分の方へ引き寄せた。 「ち、ちょっと!?…離して!?…子供が!?」 「あれは生きてる子供じゃない」 「え…だ、だって…!」  ちょうどその時、子供がいる所に車が通った。 「…うそ…私…また…」  車が通ったあとそこにいた。子供は無傷のままそこにいた。  それを見た。その人は渋い顔をしてうつむいた。 「…君は…霊が…み、える…(うそ…だろ…)」  狐が霊が見えることを尋ねようとその人のことを見たら狐は驚いていた。  ずっと会いたかった。女の子に似た女の人がそこに居た。 「あ、あの…」 「…え…」  狐は女の人に声をかけられて我にかえたらいつまでも女の人を抱きしめていたのに気づかずにいた。 「もう離してもらえますか?」 「ああ!?…す、すいません!…もう大丈夫ですか?」 「はい…」 「…」  お互いに黙ったままその場で立ちすくんでいた。 「…あの…」 「は、はい!…」  狐は声をかけられて思わず声が上ずってしまった。 「…ふふ」 「な、何で笑うんですか!?」 「あ、ごめんなさい…初対面の人なのに…」 「あ…い、いえ…(笑っている顔はあの時のあの娘の笑顔と同じだ)」  狐は女の人のその笑顔を見て昔会って時のままの笑顔でいるのに少し安心した。 「えっと…あの…貴方も…その…見えるのですか?」  女の人は聞きずらそうに狐に尋ねた。 「え?」  狐は何のことがわからず首をかしげた。
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