僕の彼女は誰ですか?

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「好きです、付き合って下さい」 そう僕に告白してきた相手は、幼馴染みの双子だった。香村花江(はなえ)と香村実江(みえ)とは、小学生の時に知り合い、思春期真っ最中の今も仲良く付き合えている大事な友達だった。僕の初恋は彼女達だった。でも、どちらに惚れたのか自分でも分からない。僕の初恋エピソードを話すと、彼女達はそれは自分ではないと言い張るからだ。それはおかしい。見慣れている顔を間違える訳がない。僕は彼女達のどちらかに、あの時確かに恋をした。でも、どちらが嘘をついているのかも分からない。小学6年の時の夏祭りで彼女に恋をして4年。僕は相手が分からないまま、ずっと片想いをしている。 「嬉しいけど、僕の初恋がどっちなのか分からないうちは、どっちとも付き合えないよ」 そう言って双子をフると、まだそんな事を言ってるの?と双子の妹の実江が呆れた目で僕を見詰めた。あれは私達じゃないと言っているのにねと姉の花江もため息をついた。 「いつまでも初恋に捕らわれてないで、私達の気持ちに向き合ってほしいな」 「お姉ちゃんの言う通りだよ!私達はこんなにも龍真(たつま)君の事好きなのに…」 抱き付いてきた実江に止めろと言い、自分から引き剥がすと、僕は初恋が忘れられないんだと、改めて双子をフった。
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