1人が本棚に入れています
本棚に追加
1
「司、西成一弥って覚えてるか? 中学ん時の同級生。そいつ、死んじまったらしい」
幼馴染みの定から西成の話を聞いて、驚きを隠せなかった。小中学の同級生、西成一弥が死んだ。
告別式の日時を聞いて、クリーニングから返ってそのままの状態でタンスに収めた一張羅を引っ張り出し、着替えた。
「西成が、死んだ……」鏡を見ながら寝癖を直しつつ、現実を受け入れられずにボソリと呟いている事に気が付いた。
中学卒業後、西成とは高校の通学路だったバス停で何度か会った。
お互い別の高校に通っていた。
思い出している最中、窓の外からクラクションが鳴った。定が路肩に車を停めて迎えに来ていた。
洗面所で顔を洗ってベランダの窓から片手を振って下にいる定に合図を送るとすぐに部屋を後にした。
長身にはやや身が狭い軽自動車に乗り込むと運転席にいる定は「久しぶり」と一言口にすると車を走らせた。
定と会うのは転勤して地元を離れて以来、5年ぶりだ。
最初のコメントを投稿しよう!