【 プロローグ: 時が戻るなら 】

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【 プロローグ: 時が戻るなら 】

 俺は、彼女を救えなかった……。  あの日から、俺たちの関係は変わってしまったんだ……。  どうしてあんな決断をしてしまったのか……。  後悔しても、しきれない……。  もう一度、時が戻せるのなら……。 『ザァーーーーーーッ!』 「ヒロキーーっ!! 助けてーーっ!!」 「柚葉ーーっ!! 俺の手を持つんだーーっ!!」 「ダメェーーっ!! もう手に力が……、入ら……ない……」 『ズズズッ……、ズザザザザァーーーーーーッ!』 「柚葉っ! 柚葉ーーーーーーっ!!」  彼女は、土砂降りの雨の降る山中で、茶色く汚れた崖の下へと落ちて行き、その姿は見る見ると小さくなっていった……。  俺はその彼女の落ちて行く姿を、最後まで見ていることが出来なかった……。  もう一度、時が戻せたら……。 『ザァーーーーーーッ!』  ~恋ニたゆたふ、雲ノまにまに~
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