ユナ(一)

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ユナ(一)

「ミサキ、今日の髪型、超かわいいじゃん」 「っていうかキコ、このページの服とか超似合いそうじゃない?」 「アサミって音楽のセンスいいよね」 「ねぇ?ユナもそう思うでしょ?って、ユナ、聞いてるの?」 「あ、あぁ、うん、そうだね、超いいよ」 学校帰り、スマホの情報サイトを流し見ながら、私は友人たちの女子トークに適当な相槌(あいづち)を打つ。 こういう女子たちの上っ面の会話って、超めんどい。 帰る方向が同じなだけで無理矢理一緒に帰る感じとかも苦手。 「あ、あたしこっちだから、じゃね」 スマホの画面に表示された「凶悪犯、取調べ中に逃走」という記事に、けっこう近所じゃん、怖っ、と一人思いながらも、通りから()れ、林を抜ける横道へと入りみんなに軽く手を振る。 女子たちは声を(そろ)えて、 「また明日ねー」 と同じように手を振り、すぐまた元の女子トークに戻った。
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