嘘、買いませんか

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木彫りの、7~8センチくらいの高さの、直径3センチの円柱に近い人形。首のくびれた、丸い2つの目の下の真っ赤な面は鼻――口? いや嘴? これは……鳥なのか? 大事に風呂敷で包んで大仰な箱に納めて、野菜や果物や米や日用品の詰め込んである段ボールのど真ん中にそれはあった。 どういうつもりなんだろ、お母さんたら。可愛いんだか微妙なセンの人形。飾るにもちょっと躊躇する。そいつの背を上にして再び押し込み、閉じようとして。 ん? 気のせいか。動い……? 瞬間、そいつの首がぐるりと180度回った。まん丸の2つの目と真琴の目がバチンと合った。 「嘘つきだな。お前、嘘つきだな」 何だとー? いやその前に。こいつ人形のくせに、何でしゃべってんの?
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