。゚.+序章+.゚。

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「お祖父様がしたんだ……。」 けれどここで諦める訳にはいかない。 他に何かないかと、部屋を見回したリンダの目に、月明かりが降り注ぐ窓が映った。 はっとし、慌てて窓に近寄り下を見ると遥か下に手入れの行き届いた芝生が見える。 ここは城の最上階。 高さにすれば、丁度5階建ての建物と同じ位の高さである。 「…魔術で翼を生やせばどうにかなるかも……。」 そう呟くが、リンダは魔術が上手く使えないので、飛ぶ事が出来る時間はあまり長くはない。 もし失敗したら、怪我では済まないだろう………。 だが、選択の余地はない。 クローゼットを開け、ネグリジェを脱ぎ捨てると、動きやすい白いワンピースを身に纏うと、窓を開け放した。 冷たい夜風が部屋に吹き込み、天蓋のカーテンを揺らす。 ワンピースが凄い勢いで風になびき、部屋へ押し返されそうになるると同時に恐怖に襲われ立ちすくんだ。 たが、躊躇している暇はない。 目を閉じ、背中に魔力を集中させ、光輝く翼が生えた自分を強くイメージし、本に載っていた呪文を呟いた。 「ライトウィング!!」 すると、白い光がリンダを取り巻き、背中に集まると、翼の形になる。
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